◆薬剤耐性菌の増加が懸念されています◆

 厚生労働省委託事業日本歯科医師会主催のAMR対策歯科臨床セミナーを受講しました。

「薬剤耐性」は英語でAntimicrobial Resistanceです。
抗菌薬(抗生物質)の頻回使用による薬剤耐性菌の問題は医療従事者にとって最も重要な課題の一つといえるでしょう。

◆問われる医療従事者の意識◆

大学を卒業してからというもの、「歯」だけの勉強ではいけないと強く考えていました。
研修医期間が終わるころだったでしょうか、2012年頃、本屋で新書として売られている「抗菌薬の考え方、使い方Ver.3」という本に出合いました。
分厚い本でしたが、根拠とともに抗菌薬の処方について的確なことをアドバイスしてくれます。抗菌薬処方の選択に関していまだに大きな柱になってくれています。

その後も、兵庫県歯科医師協会などの主催する抗菌薬に関する勉強会に何度か参加しましたが、やはり本で読んだことを講師の先生も言うんですよね。
だんだんと自信がついて患部のために、患者さんのために、ひいては耐性菌が問題となる社会のために、自分にできることを常に考えなければいけないと深く考えるようになりました。

◆ＡＭＲ対策講演◆

今回の公演の内容もやはり第三世代セフェム系の話になっていました。
どの細菌に効かせたいのか、どの組織に効かせたいのか、バイオアベイラビリティはどうなのか？
少なくともあの本を読んだ8年前から言われていることは同じです。

今回の視聴者数1300くらいでしたが、本当に全歯科医師がしっかりと勉強する必要があると思います。
また、耐性菌による死者は将来無策でいるとがん患者による死者を超えるのではといった試算や、国民の「抗菌薬」の誤解がいかに多いかなど、課題をはっきりと最初に明示されていました。

◆当院の取り組み◆

例えば抜歯が終わった後や、感染性の痛みを伴う症状が出ているときなど、当院ではより的確な処方のために、そして患者さんの体の事、ひいては社会のために、科学的根拠に基づき正しく薬をお渡しいたします。

薬を処方するにあたって、効果が表れる濃度・時間・血中移行のしやすさ・剤型・種類・アレルギー等、様々な要素や効果を正しく理解していることが、医療者側には求められます。

皆様の安心のために、今後もしっかりと研鑽を積み、今後の治療にしっかりと反映していきたいと思っています。

 

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