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マウスピース矯正について

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マウスピース矯正について

6月19日(日)兵庫県歯科医師会主催「アライナー矯正の基礎と臨床」槇 宏太郎先生(昭和大学)の勉強会に参加させていただきました。

当院ではマウスピース矯正を含め、矯正治療は行っておりません。
但し、矯正歯科よりご依頼があった便宜抜歯や、矯正期間中などの口腔内のメンテナンスは実施しております。
なぜ、矯正歯科を行わないのに矯正歯科の勉強会に参加しているのかというと、矯正治療後に噛み合わせの不良や不快感、顎関節に関するお悩みなどを抱えている患者さんが実際にいらっしゃる事、そして、かかりつけの歯科医として、皆様から相談があった場合に的確に回答できるようにするためです。

矯正の専門医のもとしっかりと矯正治療を受けられている方は安心してご通院下さい。
日本矯正歯科学会、日本歯科医師会として懸念されている事項について、今回皆様に周知させていただこうと思い記事にさせていただきます。
保険外診療を受ける際、どのようなサービスをお選びになるかは皆様の自由ですので、安さや気軽さを重視されることも重要な判断材料だと思います。
しかし、最近では様々な売り文句で簡単で魔法のようなツールとして、マウスピース矯正を気軽に進めているCMや宣伝などを目にするようになりました。

日本矯正歯科学会では、「歯科医師による対面診療を基盤とせず患者に配送するサービス」について「重大な懸念」を抱くとともに、「厚生労働省、経済産業省、公益社団法人日本歯科医師会等とも協議しながら、矯正歯科領域の我が国を代表する学術団体として調査・対応等を図っていきたいと考えております。」と表明しています。

矯正治療だけではなく、様々な歯科医療行為は患者さんの大切な生活、人生、に大きくかかわると考えています。矯正の歯科医師や、我々一般のかかりつけ歯科医師も責任をもって様々な治療を行っています。気軽さや簡単さも患者さんからすると魅力的と感じるかもしれませんが、何か予期せぬ出来事に遭遇した時のリカバリーや、途中経過に関して重要な関心をもって見てくれる歯科医師がそばにいることが最重要と考えます。

ここで、重要な点をもう一度確認しておきます。
矯正歯科や、マウスピース矯正を否定しているわけでは決してありません。
歯科医師がほとんど介入しないマウスピースの商品が開発されているようで、歯科医師による計画・治療の進行・計画と違う事象に対するリカバリー・諸症状に対する対応・専門的知識を持った歯科医師の経過観察、といった非常に重要な部分の対応に関して非常に心配しているということです。

抽象的な表現ではわかりにくいため、具体的にどのようなことが問題になりやすいのかを、少しご紹介します。
◇マウスピース矯正に関するこれまでに見られた一般的な失敗例◇
・抜歯すべきなのか、抜歯しないで可能なのかの診断の誤り
・移動させない歯の設定や固定源強化不全
・ブラケット治療との差に関する知識の不足
・歯並びに関するシュミレーションの過信
・リカバリーに対する技能不足

これらのなかでも特に「シュミレーションの過信」は非常に注意すべきで、「生体情報の不十分さ」が「誰でもなんでも治せるという訳ではない」という状況を生み出しています。
例えば
・治療中の固定源の減弱が予測できないこと
・固定源の強化策を講じることができないこと
などがありますが、他にも
・術前にわからなかった習癖
・アタッチメントの離脱
・リカバリー方法の欠如、遅れ
などがシュミレーション通りに進まなかった時の原因として挙げることができます。
このように、歯科医師が介在していても計画通りに進まないこともある矯正歯科治療です。これらの事を理解しているからこそ歯科医師の介入がないことに対して非常に危機感を感じる歯科医療関係者も多いのではないでしょうか。
もちろん、歯科医師の介在しないマウスピース矯正でも、きれいに計画通り進む方もいらっしゃると思います。
できるだけ気軽に、お安く、簡単に多くの方が歯科矯正治療を行えるようにしたい、という発想や考え方は素晴らしいと思います。

しかし、あなたの大切な人生です。歯が移動した後、思ったより変わらなかった、かみ合わせが悪くなった、手術が必要になったなどの失敗症例から学べることがたくさんあります。
日本矯正歯科学会では「患者自身の独自の判断でこれらの製品を使用し歯の移動を行うことは、歯科医学的にも非常に危険であるため絶対に避けてください。」と注意喚起を行っています。
これから矯正をお考えの方は、一度、立ち止まって考えてみましょう。
わからなかったら相談に来ていただいてもかまいません。できるだけ正しい情報を正確にお伝えいたします。

最後に…

日本矯正歯科学会から2022年6月現在、「重要なお知らせ」として、ホームページトップに「重大な懸念」を2項目表明しています。
以下、日本矯正歯科学会からの発信している情報をそのまま掲載いたします。

2022年 6 月 1 日
『宅配大手企業が歯科矯正用マウスピース装置を製造し、患者に直接配送するサービスを開始した』の報道に対する見解
公益社団法人日本矯正歯科学会
今般、テレビやインターネット等を介して、各報道機関より『宅配大手企業が歯科矯正用マウスピース装置を製造し、患者に直接配送するサービスを開始した』とのニュースが配信されました。
本報道内容に関して、公益社団法人日本矯正歯科学会は、歯の位置や咬合を持続的に変化させるマウスピース装置(アライナー型矯正装置)を歯科医師による対面診療を基盤とせず患者に配送するサービスについて重大な懸念を抱いております。
本学会としましては、厚生労働省、経済産業省、公益社団法人日本歯科医師会等とも協議しながら、矯正歯科領域の我が国を代表する学術団体として調査・対応等を図っていきたいと考えております。
本学会は今後も適切に情報のご提供をさせて頂きたく考えておりますので、国民の皆様方におかれましては、引き続き安全・安心な矯正歯科治療の普及に向けて、ご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます

公益社団法人 日本矯正歯科学会

1) インターネット上で、歯科医師が介在しない形でマウスピース型製品が販売され、歯列の改善への有効性を謳うケースが出てきています。矯正歯科治療は、正確な診断や精密な治療計画に立脚して行われるべき医療行為であり、誤ったマウスピース型製品の使用は予期せぬ大きな問題を引き起こす可能性があります。患者自身の独自の判断でこれらの製品を使用し歯の移動を行うことは、歯科医学的にも非常に危険であるため絶対に避けてください。

2) マウスピース型矯正装置による治療には、以下の利点・欠点を踏まえた適応症の判断や専門的知識を要することから、大学病院等や学会が認める基本研修機関において十分な矯正歯科領域全般にわたる基本的な教育と臨床的なトレーニングを受けた歯科医師による診察、検査、診断を基に治療を行うことを推奨します。

欠点

  • 歯の移動量の少ない症例に限られる(軽度の乱杭歯、軽度の歯の空隙、矯正治療後の軽度の後戻り等)。
  • 毎日長時間の装着を必要とし、使用状況によって効果が大きく異なる。
  • 小児や骨格性要因を含む症例には適さない。
  • 現在の医療水準で考えれば精密な歯の移動は原則として困難で、満足のいく治療結果が得られない可能性がある。

利点

  • 他人から見えにくい装置である。
  • 装置の着脱が簡単で食事や歯磨きがし易い。
  • 金属アレルギーを有する方も使用できる。
  • 診療室での治療時間が比較的短い。

 


※注意※くどう歯科医院が提供する記事、画像等を、権利者の許可なく複製、転用、販売などの二次利用することを固く禁じます。掲載されている著作物に係る著作権・肖像権はくどう歯科医院に属します。

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